テイアと別れ、アキラさんと一杯だけ飲んでホテルに戻った。連日のように飲んでいるのでさすがに体調が悪い。
ベットで転寝をしているとテイアからテキストが届いた。
テイア 『You stay in red door』
教会でテイアに宿泊しているホテルを聞かれて教えたような気がする。
私 『YES』
と返信する。
テイア 『Near where?』
何処の近く?と聞いてきた。レッドドアは知らないのかな?
私 『JJ(JJストアの近くのホテルです)』
と返信をすると
テイア 『OK I come now』
と帰ってきた。今から来るの? 今日はこの後の用事も無いし断る理由もないので
私 『K(いいよ)』
と伝えた。
相変わらず訳が分からない。6時から仕事だと言っていたが、もう6時はとうに過ぎている。
テイアが来てから聞けば良いと考え、待つことにした。
相変わらず来ない。待たされる時間に比例して私のが疲弊していく。待たされるのは嫌だ。
2時間ほどしてからテキストが届く。
テイア 『traffic(渋滞)』
んなぁわけねーだろ( `ー´)ノ
テイア 『hehe no good』
なにがheheだ。
テイア 『What your room number』
私 『36』
ようやく到着したテイアは仕事用にバッチリメイクを決めている。昼間よりも美人だった。
到着するなり早口の英語で話しかけてくる。今までで一番よく喋る。ほとんど理解できないが要約すると
『金・土・日はビックデイで休んだり、遅刻をすると罰金を取られるらしい。』
私はテイアが何処で働いているかも知らないし、テイアが『何を望んで』ここへ来たかも分からない。
私 『同伴すればいいの?』
テイア 『NO』
どうやら違うらしい。
テイアはお店のシステムやら自分の考えやらを一生懸命話してくるが、早口の英語は殆ど理解できない。携帯電話の翻訳機能を使い、何とか理解しようと努力する。
どうやら泊っていくのかな?
それならばそれでいい。テイアと一緒に過ごす時間は楽しい。散々待たされたが一緒に過ごせるのならそれは許せる。
と考えているとテイアの携帯電話が鳴った。
買ったばかりの携帯電話の番号を知っている人間は限られているし、ラインは壊れて使えないはず。
テイアは画面を隠しながらテレビ電話に出て話をしているが、相手の話し方が日本人っぽい。
一旦電話を切り、テキストでやり取りを始めている。
画面をのぞき込むと、どうやらメッセンジャーを使っていそうだ(隠してやがったな)。
相手とのやり取りが終わり、真剣な顔で私に話しかけてきた。
『彼は日本人で、私の姉のカスタマーだ。
姉が今日は捕まらないので、2時間だけお酒の相手をしてほしい。と言っている。
いつも、彼とは話だけをして、お小遣いをもらっている。
お酒を飲んで話をするだけだ。
2時間だけ彼のところへ行って、その後ここへ帰ってくる。』
んなぁわけねーだろ( `ー´)ノ
私 『NO!』
流石にそれは許せない。この心境を言葉にするのは難しい。
※疑似恋愛 本当の恋愛では無くお遊び。(ウキペディアを参照しようとしたが記載がなかった。)
所詮、遊びである。本当に付き合う事も無いし、結婚しようとなんかは夢にも思わない。仕事を辞めさせる気も無いし、その甲斐性も無い。他のカスタマーと寝ようがそこまで気にならない。
一緒にいると楽しいし、好かれると気持ち良い。それだけである。
私がいない所では何をやっても構わない。
それでも目の前に一緒にいるのに、その場から離れ他の男の所へ行くのを許すほど私のハートは強くない。
(最高にゲスである。この後も最低な行動をし、最低な考えを持つが、この考えが最もゲスにふさわしい。)
私 『NO!』
もう一度強く言った。
彼女の中に葛藤があったかは分からない。
彼女は一生懸命言い訳をする。
本当に話をするだけだ。
2時間で帰ってくる。
お前は安心して待っていろ。
散々言い訳をして、
彼女は部屋から出て行った。
追記
その後、私は1人でWSへ行きかなりの量のお酒を飲んだ。
ホテルに戻り、ベットに入った時には意識がほとんど飛んでいた。
ホテルの備え付けの電話が鳴った気がする。
フロントのねーちゃんが何かを言っていた。何を言っているかは理解できなかったがテイアが帰ってきたのかと思った。
イエスと伝え、暫くしてドアが開いた感じがしたが、その後の記憶は無い。

その夜、テイアは帰って来なかった。
コメント